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2007年9月26日水曜日

ディレク日記@初雪会議:その① byタテヤマ

だいぶ投稿が空きましたねw

初雪会議でディレクをする立山です。
いい機会なので、ディレク日記みたいなのを書いてみたいと思うのですが、

札幌では今回が2回目のBG作成ということで、
今後数回にわたってはBG作成の行程を連載していきます。

ちなみにあくまで記録用日記のつもりなので、冗長な文章になってしまうこともあるかと思います。
まとめたものは会議が終わった後、会議レビューとして書つもりなので、そんな時は適当に読み流してやってください。

では、1回目の今回は、議題決定から編成を考えるに至るまでを書きたいと思います。

【議題決定から着手に至るまで】

今回の議題は「水問題」です。

元々ディレクはモギコクをやる前から水問題に多少興味があり、どうも全国のモギコクでも頻繁に議題として扱われているようだったので、丁度いいじゃん。やりてー。
こんなノリで議題候補にあげて、めでたく初雪会議の議題として決定しました。

ただし、ひとくちに「水問題」と言っても広範で、問題とされているものはたくさんあります。
その中で、今回これを議題案としてあげるにあたって自分なりに議論にあげたいと思っていた部分はありました。それは「水の商品化の是非」です。

水って石油のような「希少財」として、「商品」として売り買いしていいのか?
んで、水道事業て民営化していいのか?
結局、水って誰がどう管理していけば世界はうまくいくのか?


くだいて言えばこんな感じのことなのですが、
これらは同時に、この会議をしようと思った時点で考えていた「論点のイメージ」でもあります。

さて、そんな漠然とした疑問と少ない知識を元に、どうやって会議の構想を練り、BG執筆に取り掛かればいいのか。それにはまず、国連でどういう議論がされているのか知らなくてはならないのですが、そのことに言及する前に、ディレクが前述のような「論点のイメージ」をもつにいたるきっかけとなった本をあげてみます。


  • 「ウォーター・ビジネス」2004、岩波書店、中村 靖彦

  • 「水の世紀―農からの発想」2003、農文協

  • 「ウォーター・ウォーズ」2003、ヴァンダナ・シヴァ

  • 「世界の<水>が支配される!」2004、国際ジャーナリスト協会


以上4冊あげてみましたが、どれも今回のBG作成にあたって十分な資料とは言えませんでした。

なぜなら、これらの内容のほんとんどが、「水の商品化の是非について意見主張している」ものや「特定地域の現状を検証している」など、「水の商品化という現象そのものをものを論じている」ものであって、「水問題に関する国家間の対立点や国際社会全体の対応」について客観的に述べられているものではないからです。もちろん断片的だったり、主観的に言及はされていたりはしますが。

例えば、前期でやった「核問題」のような安全保障系の議題ならば、その問題自体「国家単位での議論がベース」であることが多く、国連会議という場や国家間の対立点は比較的に想定しやすいと思います。

しかし、人権系、社会保障系の視点が含まれる議題では、まず「個人、地域ベースでの問題」があり、それに対して国家という単位がどう対処して行くかという視点であるため利害関係が整理しにくく、国連会議という国家間の話し合いの場を想定したときに、何が対立点となるのかが曖昧になりやすいのです。

はじめにあげた、ディレクが考えていた「論点のイメージ」。
これは明らかに「個人、地域ベース」で見た「水問題」、もしくは「水の商品化」という現象の一つを切り取ったに過ぎず、国連会議で話し合われるような「国家ベース、国際社会ベース」での視点ではありませんでした。

このままでは、国家間の対立点というものが整理はおろか想定すらされておらず、
国連会議という設定にあげるには不十分です。

ここから、ミクロからマクロへの視点の転換が必要となるわけです。

そして、この時点でもう一点ディレクとしてやるべきことがあります。

それは、自分の「水問題」のイメージを形づくっているこれらの本に書いてある情報がほんとうに正しいのか?「水の商品化」という問題があるというイメージは、これらの本から得ているわけで、その情報が古かったり間違っていたら、想定している論点自体成り立ちません。まずは、裏をとることが先決でした。

【この時点での課題】

  1. 国連での議論を把握する。

  2. 国際的な「水問題」を、網羅的に載っている良書を探す。

  3. 想定している論点以外の論点がないか把握する。

  4. 国家ベースで「水の商品化の是非」を考えるとどのような議論が成り立つのか考える。

  5. 1次情報に当たる。


さて、とりあえずこのような課題を抱えBG構成に困ったディレクは、

宇都宮支部から水問題のBGを頂き、その読み込みからはじめます。

長くなってしまったので、以降のことは次回に。

(雑記)
・「ウォーター・ビジネス」(2004、岩波書店、中村 靖彦)は良著だと思います。
別に、他の列挙した本の内容の質が低いわけではありませんでした。ただし、引用されているジャーナリストの意見や本の構成などが割合かぶっていたりしたので、本選びに失敗したなーという感想です。他に、ボトルウォーター企業(コカ・コーラとかエビアンとか)についてとか個別に調べていくとこれはこれで面白い。
ちなみに、「ウォーター・ウォーズ」の著者、ヴァンダナ・シヴァ氏はインドでは環境系で有名な女性思想家・活動家だそうです。ディレクはこれを読んでいた当時そのことを知らず、最近別の本を読んで名前が出てきたのでびっくりしました。(参照:小熊英二「インド日記」)